使用環境に適したタッチパネルを選ばないと、傷がついたり、動作不良を起こしたりするかもしれません。ここでは、タッチパネルについて過酷な環境を紹介します。耐環境性・耐候性に優れたタッチパネル製品も紹介します。
タッチパネルにとって過酷な環境とは
タッチパネルにとって過酷な環境について紹介します。以下の条件で通常のタッチパネルを使用すると、タッチパネルが汚れやすく見栄えが悪くなる、検出精度が落ちる、寿命が早まるといった不具合が予想されます。
気候的な要因
タッチパネルに影響を与える気候的な要因を、以下にまとめました。
- 雨
- 石などの衝撃
- 太陽光(紫外線)
- 厳しい寒さ・暑さ
タッチパネルが雨にさらされると、雨水によるノイズで一時的に反応が悪いだけではなく、劣化が進みやすくなります。ノイズの影響を受けやすいタッチパネルに限らず、どのような方式でも防塵・防水性能が高いタッチパネルが求められます。
石など以外にも、木の枝や鳥などの動物、人などがぶつかる衝撃もタッチパネルに影響を及ぼします。ガラスやアクリルなどの樹脂でカバーしたタッチパネルならば、屋外でも安全に使いやすいでしょう。
太陽光に含まれる紫外線はエネルギーが高く、タッチパネルを黄変させたり、電気性能を劣化させたりします。紫外線吸収剤を接着層などに混ぜ込んだり、表面に紫外線吸収フィルムを貼ったりすると、タッチパネルの劣化を抑えられます。
激しい暑さ・寒さに見舞われる地域では、タッチパネルに耐寒性・耐熱性が求められます。タッチパネルを安全に使用・保管できる温度範囲はメーカーごとに異なるので、個別に確認しましょう。
工場内などで想定される要因
タッチパネルに影響を与える工場内などで想定される要因を、以下にまとめました。
- 油・粉塵・水滴
- 震動・衝撃
- 高温・高湿度・低温
- 作業場やむをえない過酷な温度環境
油・粉塵・水滴で汚れやすい現場には、ノイズに強い現場には抵抗膜式が向いています。しかし、物理的な刺激が想定される現場には、表面に強固なカバーが付いているタッチパネルが必要です。
周囲の装置が稼働していると、タッチパネルに振動・衝撃が伝わります。振動試験をクリアしたタッチパネルなら、震動・衝撃を受ける環境でも安心して使えます。
工場や冷蔵倉庫内の業務で活用するためには、温度の影響を受けにくいタッチパネルが必要です。
耐環境性、耐候性を備えたタッチパネル
比較的耐環境性、耐候性があると言われている方式が、静電容量方式です。なぜなら、静電容量方式は、表面をガラスやアクリルで覆うことができるためです。ここからは、具体的な製品として、NISSHA、DMCの製品を紹介します。
NISSHAのタッチパネル
NISSHAは、過酷な環境下での使用を想定した静電容量方式タッチパネルを開発しました。 水滴による誤入力防止機能により、10ccの水滴までなら静電容量への影響を抑えて利用できます。また、分厚いカバーパネルを装着しても操作できるように、ITO(導電性材料)の低抵抗化や、コントローラーの調整などで対応しました。
DMCのタッチパネル
DMCは、接着層に紫外線吸収剤を混ぜ込むことで、紫外線に強いタッチパネルを開発しました。このタッチパネルは水滴を感知でき、水分が拭き取られるまでタッチセンサーによる出力をストップします。アクリルのカバーにより、耐衝撃性も向上。しかも、-40~80℃という幅広い温度条件で使用可能です。このように、DMCのタッチパネルは、国内外問わず、さまざまな過酷な環境で使用できると考えられます。
まとめ
屋外や工場内など過酷な場所でタッチパネルを使うときは、想定される条件でも安定して使える耐環境性、耐候性に優れたタッチパネルを導入しましょう。NISSHAやDMCなどのメーカーは、耐環境性、耐候性に優れたタッチパネルを提供しています。
- タッチパネルが誤作動を起こす要因とノイズ等に強い製品について見る
- タッチパネルの画面が見えにくい要因と対策について見る
- タッチパネルの画面が暗いと感じる要因と透過性の高い製品について見る
- タッチパネルに傷がつきやすい要因と耐傷性のある製品について見る
- タッチパネルの反応が悪い要因とその対策について見る
- タッチパネルの入力位置がずれる要因と対策について見る
産業用タッチパネルメーカー3社

耐久性や環境適応性に優れ、工場や屋外使用でも安心。互換性も高く予算に合わせた開発提案が可能。
- 工場FA機器
- 重機
- 屋外標識
- 倉庫用ロボット
など

高機能フィルムの開発が得意で、これまで難しかったITOフィルムの大型化に成功。最大65インチ対応で様々な表現が可能に。
- サイネージ
- フロアガイド
- アーケードゲーム
など

抗菌・抗ウイルス機能付き機能や写像性を高めるニュークリアフィルムを開発し、衛生的で快適な操作性を実現。
- 検査機器
- 臨床現場
- 美容成形
など
2023年1月20日時点で「産業用 タッチパネルメーカー」でGoogle検索し100位までに公式サイトが表示されるメーカーのうち、産業用タッチパネル製造に関する情報が明確であるメーカー21社を紹介しています。
その中で、総合力に関する「品質」「対応力」「実績」に関する情報が明確に公式サイトに記載されているメーカーの中から業界ごとにおすすめできる特徴をもつ3社をピックアップ。
ディー・エム・シー:耐久性や環境対応性が高く、製造業や建設業などの過酷な環境下でも機能性を損なわない
グンゼ:最大65インチまで対応する大型パネルを生産しており、広告などの表現力が重要なシーンに適する
FCLコンポーネント:抗菌機能や写像性を高めるフィルムを開発し、衛生条件の厳しい医療や食品加工での使用向き。