LCDとLEDパネルの違い

目次

LCD・LEDパネルの仕組みや、LCDとLEDパネルの輝度、耐久性、メンテナンス性などの違いについて詳しく紹介します。どちらも一長一短があるため、設置場所や用途に合わせて選ぶようにしましょう。

LCDとは

LCDは「Liquid Crystal Display」の略で、液晶ディスプレイのこと。液晶は液体(Liquid)と固体(Crystal)の両方の性質を合わせ持つ素材で、電気による刺激を液晶に与えると光の屈折角度が変わる特徴があります。

液晶そのものの歴史は古く、1888年に発見され、その後70年以上を経て1964年に液晶表示装置としての応用が考案。1973年、日本ではじめての電池駆動が可能な電卓の表示装置として採用されました。

LCDは商品サイズや規格が固定されているため、メーカーサイドで量産が可能です。そのため、LEDに比べると安価で購入することができます。ただし、規格外サイズは製作が難しくコストがかかるので注意しましょう。

LCDの仕組み

LCDには、ブラウン管のような自発光の能力はありません。バックライトが発した光を偏光フィルターやカラーフィルター、液晶に通過させることで表面に色が付いた光を出力。バックライトを利用し、各フィルターを通して発光し色を表現する仕組みです。

この仕組みを持つ構造が「ピクセル(画素)」です。ピクセルを複数集めることで、ディスプレイとしての機能を持たせます。LCDでは、HD(1,280×720ピクセル)と呼ばれるものやフルHD(1,920×1,080ピクセル)のものが主に用いられています。

LEDパネルとは

LEDは「Light Emitting Diode」の略で、発光ダイオードのこと。ダイオードは電気の流れを一方通行にする電子部品のことで、いくつかの種類があります。その中でも電気を通すと発光するのが発光ダイオードです。

LED単体では、決められた色を発することしかできません。そのため、LEDパネルは大量のLEDの粒子を配置し発光させることで映像や画像を表現します。LEDパネルはモジュール単位で構成されているため、サイズをカスタマイズすることが可能です。

初期の頃は屋外で用いられるデジタルサイネージや街頭テレビなどで使用されてきましたが、現在では小型化に成功。超小型のマイクロLEDも登場し、家庭用テレビの試作機も作られています。

LEDパネルの仕組み

LEDパネルは、LED自体が発光体であるためディスプレイに配置された一つひとつのLEDの粒がピクセルとなって、その集合体が映像表現を行う構造です。シンプルな構造で、LCDで使用するバックライトや偏光フィルターなどはいりません。

設置するLEDの数を自由に変えて画面を構成できるため、横10個×縦10個などの非常に小さなものからフルHDサイズといった大きなものまで自由に製造できることが可能です。

LCDとLEDパネルの違いをチェック

輝度(明るさ)

画面の明るさの指標であるcd数で比較すると、屋内用LEDビジョンが1,200cd~5,500cdに対し、LCDは600cd程度。屋内でも特に外光が当たる場所やショーウィンドウやガラスの内側などにおいては、LEDビジョンの方が明るいです。

耐久性

LEDパネルは50,000時間点灯すると、明るさが半減するとされています。例えば1日16時間点灯した場合、明るさの持続期間は約8.5年です。一方、LCDの寿命は30,000時間ほど。1日16時間点灯した場合は5年程度で寿命を迎えます。

画面サイズとベゼル(つなぎ目)

LEDパネルは最大サイズに制約はありません。LCDはメーカーが販売している最大サイズの多くは120インチほど。それ以上の大きさの場合は複数のモニターをマルチ画面で構成するため、画面にベゼル(繋ぎ目)が現れてしまいます。

価格(導入コスト)

コストが安いのはLCDの方。メーカーで量産できることから比較的安価に購入できます。ただし、大きい画面の場合はLEDパネルの方が安くなる場合も。設置環境によって異なりますが、基本的に120インチ以上の画面を希望するならLEDがおすすめです。

メンテナンス性

LEDパネルは、1枚1枚のパネルで画面が構成されていて部分的な交換が可能なためメンテナンス性に優れています。一方LCDは、本体の中を開けないと修理ができません。

曲面設置

LEDパネルには、曲面設置に適した曲がるものも存在します。そのため、設置する場所が曲面や円柱などでも設置面に沿って設置することが可能です。トンネルのような場所の空間演出にも向いているでしょう。

視認距離

LCDは至近距離向けです。テレビやパソコンのモニターなど、視認距離が近くそれほど大きくない画面にはLCDが向いているでしょう。一方、LEDパネルは遠くの視認距離で鮮やかに表現することが可能です。

どちらを選ぶかは設置場所と用途次第

LCDとLEDは、それぞれ特徴が異なります。LEDの方が明るく自由にカスタマイズできる一方、LEDモジュール数を多く使用する大型のLEDビジョンなどでは設置後各所で不点灯現象が多く発生する可能性があるため注意が必要です。その都度モジュールの交換などの対応が必要となります。

LCDは明るさや耐久性性などでLEDに劣りますが、解像度が高く映像がとてもキレイに映ります。どちらも良い点・悪い点があることを把握し、設置場所や用途に合わせて選ぶことが大切です。

産業用タッチパネルメーカーの
一覧を見てみる

総合力で選ぶ
産業用タッチパネルメーカー3
製造・建設などの現場向け
ディ・エム・シー
ディ・エム・シー
引用元URL:株式会社ディ・エム・シー公式サイト(https://www.dush.co.jp/product/touchscreen/)
特徴

耐久性や環境適応性に優れ、工場や屋外使用でも安心。互換性も高く予算に合わせた開発提案が可能。

たとえば
  • 工場FA機器
  • 重機
  • 屋外標識
  • 倉庫用ロボット
  • など

アミューズメント・広告向け
グンゼ
グンゼ
引用元:グンゼ株式会社公式サイト(https://www.gunze.co.jp/denzai/)
特徴

高機能フィルムの開発が得意で、これまで難しかったITOフィルムの大型化に成功。最大65インチ対応で様々な表現が可能に。

たとえば
  • サイネージ
  • フロアガイド
  • アーケードゲーム

など

医療・食品産業向け
FCLコンポーネント
FCLコンポーネント(旧富士通コンポーネント)株式会社
引用元:公式サイト(https://www.fcl.fujitsu.com/products/touch-panels/)
特徴

抗菌・抗ウイルス機能付き機能や写像性を高めるニュークリアフィルムを開発し、衛生的で快適な操作性を実現

たとえば
  • 検査機器
  • 臨床現場
  • 美容成形

など

【選定条件】
2023年1月20日時点で「産業用 タッチパネルメーカー」でGoogle検索し100位までに公式サイトが表示されるメーカーのうち、産業用タッチパネル製造に関する情報が明確であるメーカー21社を紹介しています。
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ディー・エム・シー:耐久性や環境対応性が高く、製造業や建設業などの過酷な環境下でも機能性を損なわない
グンゼ:最大65インチまで対応する大型パネルを生産しており、広告などの表現力が重要なシーンに適する
FCLコンポーネント:抗菌機能や写像性を高めるフィルムを開発し、衛生条件の厳しい医療や食品加工での使用向き。