FPD（フラットパネルディスプレイ）は映像を表示させるための装置であり、ブラウン管を使用していたかつての映像表示装置よりも薄型で、現代の様々な電子機器や家電製品などに活用されています。このページではFPDについてまとめています。
FPDとは
FPDとは「フラットパネルディスプレイ（Flat Panel Display）」の頭文字を取った略称であり、ブラウン管を利用していた映像表示装置に対して、FPDではブラウン管を使わず薄型で平坦な構造の映像表示装置になっている点が特徴です。
液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイなど、板状かつ平面的なディスプレイの総称であり、タッチパネル機能を搭載しているスマートフォンやノートパソコンの画面、あるいは他にも様々な電化製品や家電製品においてFPDが採用されています。
FPDの製造工程
FPDの製造には数多くの段階が工程として組み込まれており、回路設計から点灯検査まで順に進められます。ここでは液晶ディスプレイと有機ELディスプレイの製造工程をまとめました。
液晶ディスプレイの製造工程
液晶ディスプレイは構造の深部にバックライトを搭載し、その上にガラス基板や透明電極、液晶層、カラーフィルターなどが重なって多層構造を構築しています。そして液晶ディスプレイの製造工程は大きく「アレイ工程」と「カラーフィルター及びモジュール工程」に分類されることがポイントです。
アレイ工程
アレイ工程では、ディスプレイ周辺の回路について設計し、画素の配置構造などを構築する回路設計から、フォトマスク作成、基板洗浄、成膜、レジスト塗布といった様々な作業が行われます。
カラーフィルターやTFTをガラス基板に焼き付けて、基板上に現像された回路パターンを構成することがアレイ工程の目的であり、最終的にエッチングやレジスト剥離によって不要部分を除去して回路パターンが整えられます。
具体的には以下のような流れになることが特徴です。
- 回路設計：画素の配置やディスプレイ周辺回路の設計
- フォトマスク作製：カラーフィルターやTFTをガラス基板へ焼き付けるためのフォトマスクの作製
- 基板洗浄：ガラス基板の上にあるゴミや不純物を洗浄・除去
- 成膜：透明電極膜やゲート電極膜、絶縁膜といったTFTに必要な被膜の形成
- レジスト塗布：被膜上に感光剤（フォトレジスト）を塗布
- 露光：フォトマスクを重ねた上でフォトレジストに光を照射して、マスクされていない部分を感光させる
- 現像：露光によって反応した基板を現像液に浸して回路パターンを現像
- エッチング：薬剤などによってガラス基板上のフォトレジストを除去
- レジスト剥離：エッチングで除去仕切れなかったフォトレジストの除去
カラーフィルター及びモジュール工程
アレイ工程でガラス基板上に現像したフォトマスクに対して、赤・青・緑のカラーフィルターを形成していく工程です。成膜・レジスト塗布・露光・現象という工程を重ねて、それぞれのカラーフィルターを形成し、最終的に透明樹脂を使って表面を硬化・保護します。
続いて液晶の材料を充填した液晶層を構築し、カラーフィルターとTFT基板を重ね合わせます。
その後、バックライトや偏光板などを取り付けて液晶ディスプレイが完成するという流れです。
有機ELディスプレイの製造工程
有機ELディスプレイはバックライトを必要としないFPDであり、電極の間に有機EL材料（三原色）が挟まれているという構造になっています。
前工程
TFT回路を製造する工程が有機ELディスプレイの前工程です。手順としては液晶ディスプレイの場合と同じ工程で行われます。
蒸着工程
有機ELディスプレイでは三原色を司る有機EL材料が発行するため、バックライトを必要としません。そして蒸着工程はこれらの有機EL材料による成膜工程となります。
一般的に有機EL材料の成膜は各成分の蒸着によって実行され、蒸着させる色の順番としては最初に赤、次いで青、緑という流れになります。
そもそも有機EL材料は絶縁性のある素材であり、通電性を獲得させるために正孔注入層や正孔輸送層が合わせて蒸着されることも特徴です。
後工程
蒸着工程の後、有機EL材料の封止やパネルのカッティング、配線接続といった工程が後工程に分類されます。
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