電磁誘導方式

目次

タッチパネルの入力方式の1つである電磁誘導方式。精度が高く、グラフィッカーからの支持が厚い入力方式です。ここでは、電磁誘導式のパネルの構造と、メリットやデメリットといった特徴について解説しています。

電磁誘導方式のパネルの構造とは?

電磁誘導方式タッチパネルの構造
 
画像引用元:富士通株式会社公式HP
https://jp.fujitsu.com/platform/pc/product/arrowstab/column/Touchpanel_tab/    

電磁誘導方式は、磁界に変化が生じた際に電気が流れる電磁誘導という現象を利用して入力位置の検出を行う方式のことです。磁界を発生させる専用のペンで画面をタッチすると、パネル側に設置されたセンサーが電磁エネルギーを感じ取り、位置を検出するという仕組みです。
元々は画面表示を考慮しなくて良いペンタブレットでの入力方式でしたが、センサー部分を液晶画面の下部に設置することで、高い読み取り精度をキープしつつ高画質を実現できるようになりました。

なお、一部メーカーが提供するEMR(エレクトロ・マグネチック・レゾナンス)方式の電磁誘導方式では、専用ペンにバッテリーが入っておらず、コードレスで快適に操作できます。充電や電池交換を必要とするペンは、使いたいときに充電がない、電池の寿命や液漏れしているといったリスクがつきものです。充電や電池交換が不要であれば、防水・防塵性能を高められます。

電磁誘導方式の長所・短所

電磁誘導方式の長所・短所を解説します。

長所

電磁誘導方式の長所を以下にまとめました。

  • 検出精度が高い
  • 深さ方向の検出が可能
  • 耐久性が高い
  • 透過率が高い
  • 誤入力を防げる

上述したように電磁誘導方式は検出精度の高さが魅力です。位置だけでなく筆圧も感知できるため、線の太さを滑らかに変えられます。

画面の耐久性や透過率の高さも電磁誘導方式の強みといえます。電磁誘導方式はパネル表面に頑丈なガラスを装着できるため、抵抗膜方式(感圧式)などと比べると耐久性が良好です。その上、仕様上ITO膜を使わないため、透過率をキープできます。

電磁誘導方式のタッチには専用のペンを使うため、異物がタッチパネル表面に触れても誤入力が起きません。ホコリやゴミが触れても感知しないだけでなく、誤って手や指が触れても検出されません。また、専用ペンを使える人を限定すれば、イタズラや改ざんなどの悪意ある入力も防げるでしょう。

短所

電磁誘導方式の短所を以下にまとめました。

  • 入力には専用のペンが必要
  • 磁気ノイズに弱い
  • 誤入力を防げる
  • 透過率が高い
  • 電磁誘導方式のみではマルチタッチに対応できない

電磁誘導方式への入力には、専用のペンが必要です。ただし、専用のペンを使えば誤入力や悪意ある入力を防げます。専用ペンを使うこと事態は、いちがいに短所とはいえないのではないでしょうか。そもそも、指では細かい描写が難しいため、滑らかにタッチパネルを操作したければペンを使った方が便利です。

電磁誘導方式は仕様上磁気ノイズに弱い傾向です。タッチパネルは、電磁界を生じる機器を避けて設置しましょう。また、電磁誘導方式ではペンの複数利用によるマルチタッチができません。マルチタッチで使いたい場合は、投影型静電容量方式など複数の方式を組み合わせる必要があります。

電磁誘導方式の用途

電磁誘導方式は検出精度が高いため、コンピューターでグラフィックを扱う際に重宝されています。ペンの筆圧や傾き、回転などを検知し、線の強弱や色の濃淡までも表現することが可能です。他にも電磁誘導方式は、スマートフォン・タブレット・パソコン・プリクラ端末・電子手帳などにも使われています。

まとめ

電磁誘導方式は、ペンタブレットによく用いられている、精度の高い入力方式です。

電磁誘導方式以外にも、産業用タッチパネルに用いられる方式は複数あります。

それぞれの方式がどのような特長を持つのかを把握し、求める仕様に合ったタッチパネルを選ぶようにしましょう。

本サイトで紹介しているメーカーのうち、「電磁誘導方式のタッチパネル」に対応している会社はありませんでした。(2023年3月調査時点)

総合力で選ぶ
産業用タッチパネルメーカー3
製造・建設などの現場向け
ディ・エム・シー
ディ・エム・シー
引用元URL:株式会社ディ・エム・シー公式サイト(https://www.dush.co.jp/product/touchscreen/)
特徴

耐久性や環境適応性に優れ、工場や屋外使用でも安心。互換性も高く予算に合わせた開発提案が可能。

たとえば
  • 工場FA機器
  • 重機
  • 屋外標識
  • 倉庫用ロボット
  • など

アミューズメント・広告向け
グンゼ
グンゼ
引用元:グンゼ株式会社公式サイト(https://www.gunze.co.jp/denzai/)
特徴

高機能フィルムの開発が得意で、これまで難しかったITOフィルムの大型化に成功。最大65インチ対応で様々な表現が可能に。

たとえば
  • サイネージ
  • フロアガイド
  • アーケードゲーム

など

医療・食品産業向け
FCLコンポーネント
FCLコンポーネント(旧富士通コンポーネント)株式会社
引用元:公式サイト(https://www.fcl.fujitsu.com/products/touch-panels/)
特徴

抗菌・抗ウイルス機能付き機能や写像性を高めるニュークリアフィルムを開発し、衛生的で快適な操作性を実現

たとえば
  • 検査機器
  • 臨床現場
  • 美容成形

など

【選定条件】
2023年1月20日時点で「産業用 タッチパネルメーカー」でGoogle検索し100位までに公式サイトが表示されるメーカーのうち、産業用タッチパネル製造に関する情報が明確であるメーカー21社を紹介しています。
その中で、総合力に関する「品質」「対応力」「実績」に関する情報が明確に公式サイトに記載されているメーカーの中から業界ごとにおすすめできる特徴をもつ3社をピックアップ。
ディー・エム・シー:耐久性や環境対応性が高く、製造業や建設業などの過酷な環境下でも機能性を損なわない
グンゼ:最大65インチまで対応する大型パネルを生産しており、広告などの表現力が重要なシーンに適する
FCLコンポーネント:抗菌機能や写像性を高めるフィルムを開発し、衛生条件の厳しい医療や食品加工での使用向き。