赤外線方式のパネルは、赤外線を利用してタッチ位置を検出する方式のパネルのことです。ここでは、赤外線方式のパネルの構造やタイプごとの特徴、おすすめメーカーについてまとめています。
赤外線方式のパネルの構造とは?

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赤外線方式とは、目に見えない赤外光を利用し、タッチ位置を検出する方式のことです。横方向と縦方向に赤外線の発光素子と受光素子をペアで配置し、順次発光させます。指などの障害物があると光が遮られるため、発光素子から出た赤外線の量と受光素子が受け取った赤外線の量が変化します。その違いから算出して、タッチ位置を検出するという仕組みです。
従来の発光素子1対受光素子1の方式である2軸走査方式ではシングルタッチしか認識できませんでしたが、発光素子1対受光素子複数の方式である多軸走査方式では10点以上のマルチタッチの認識が可能です。現在は、多軸走査方式の方が主流になっています。
赤外線方式の長所・短所
赤外線方式の長所・短所を解説します。長所
赤外線方式のメリットとしては、10点以上のマルチタッチの認識が可能であることが挙げられます。また、タッチする部分にセンサーがないため、透過性に優れていて綺麗な映像を映し出せる、汚れやほこりに強いという特徴もあります。素手や手袋をはめた手、ペンなどさまざまなもので操作可能です。
さらに、タッチパネルの本体は、いわゆる枠のような形をしているため、設置が簡単であることも魅力です。設置時は、すでにできあがっているディスプレイ筐体の上から取り付けるだけ。またパネル表面に傷がついても、枠部分の赤外線を発信するLEDとセンサーに影響がなければ、タッチ機能に影響しません。
しかも、抵抗膜方式(感圧式)や静電容量方式などと比べると、赤外線方式は低コストで大型化可能です。透明電極によく使われる導電性のITOは、希少な金属を使っています。そのため、抵抗膜式や静電容量方式では、大型化にあたってそれなりにコストがかかります。
短所
赤外線方式には、日光が入る野外では使用しづらいといったデメリットがあります。また、長所の部分で「赤外線方式のメリットとしては、10点以上のマルチタッチの認識が可能」と記載しました。しかし、赤外線方式の多くは、マルチタッチができません。10点以上のマルチタッチが可能なものは、近年開発された「多軸走査方式」に限られます。
その上、フレームの厚みがあるため、検出される位置はタッチパネル表面よりもやや手前です。例えば赤外線方式のタッチパネルで文字を書くと、一筆ごとに指やペンをタッチパネルから大きく離さないと、「繋がった文字」になりがちです。文字や絵を描く用途で赤外線方式を使う場合は、タッチパネル表面と赤外線LED・センサーの距離が近いタイプを利用するとよいでしょう。
また、素材を問わず操作できる点は赤外線方式の長所ではありますが、言い換えれば、ゴミ・埃・日光・水滴などの影響で操作に支障が出るリスクがあります。仕様上、フレキシブル化やフルフラット化、曲面化ができない点も理解しておきましょう。
赤外線方式の用途
赤外線方式は、屋内で使うデジタルサイネージや券売機、業務用ゲーム機器など、比較的大型のタッチパネルに向いています。すでに設置されているディスプレイに後付けしたいときも、赤外線方式なら簡単です。マルチタッチを想定するなら、多軸走査方式を選びましょう。なお、上述したように、屋外では日光や雨、ゴミなどさまざまなノイズがあり、赤外線方式では検出エラーが出やすいためご注意ください。
まとめ
赤外線方式は、10点以上のマルチタッチが可能で、透過性に優れた方式です。券売機やデジタルサイネージに多く用いられています。
赤外線方式以外にも、産業用タッチパネルに用いられる方式は複数あります。
それぞれの方式がどのような特長を持つのかを把握し、求める仕様に合ったタッチパネルを選ぶようにしましょう。
本サイトで紹介しているメーカーのうち、下記メーカーが「赤外線方式のタッチパネル」に対応しています。(2023年3月調査時点)
詳細は各社にお問い合わせください。
- 抵抗膜方式(感圧式)のタッチパネルの特徴、メリット・デメリット、対応メーカーを見る
- 静電容量方式のタッチパネルの特徴、メリット・デメリット、対応メーカーを見る
- 超音波表面弾性波方式(SAW)のタッチパネルの特徴、メリット・デメリット、対応メーカーを見る
- 電磁誘導方式のタッチパネルの特徴、メリット・デメリット、対応メーカーを見る
産業用タッチパネルメーカー3社

耐久性や環境適応性に優れ、工場や屋外使用でも安心。互換性も高く予算に合わせた開発提案が可能。
- 工場FA機器
- 重機
- 屋外標識
- 倉庫用ロボット
など

高機能フィルムの開発が得意で、これまで難しかったITOフィルムの大型化に成功。最大65インチ対応で様々な表現が可能に。
- サイネージ
- フロアガイド
- アーケードゲーム
など

抗菌・抗ウイルス機能付き機能や写像性を高めるニュークリアフィルムを開発し、衛生的で快適な操作性を実現。
- 検査機器
- 臨床現場
- 美容成形
など
2023年1月20日時点で「産業用 タッチパネルメーカー」でGoogle検索し100位までに公式サイトが表示されるメーカーのうち、産業用タッチパネル製造に関する情報が明確であるメーカー21社を紹介しています。
その中で、総合力に関する「品質」「対応力」「実績」に関する情報が明確に公式サイトに記載されているメーカーの中から業界ごとにおすすめできる特徴をもつ3社をピックアップ。
ディー・エム・シー:耐久性や環境対応性が高く、製造業や建設業などの過酷な環境下でも機能性を損なわない
グンゼ:最大65インチまで対応する大型パネルを生産しており、広告などの表現力が重要なシーンに適する
FCLコンポーネント:抗菌機能や写像性を高めるフィルムを開発し、衛生条件の厳しい医療や食品加工での使用向き。