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産業用タッチパネルの方式を比較

目次

タッチパネルは、反応している仕組みの違いによっていくつかの方式があります。ここでは、タッチパネルの方式についてまとめています。

タッチパネルが反応している仕組みとは?

タッチパネルは、圧力によってタッチを検知したり、静電気の発生によってタッチを検知したりする方法で反応しています。ここからは方式別に詳しく解説していきます。

抵抗膜方式(感圧式)

抵抗膜方式は、ペンや指の圧力に反応し、接触箇所が通電することで位置検出を行う方式のことです。シンプルな構造でタッチするものを選ばない汎用性の高さから、抵抗膜方式は広い分野で使用されています。

抵抗膜方式は基本的にマルチタッチに対応していません。加えて、仕様上、導電性を示すITO膜をガラスや硬いフィルムで覆えないので、どうしても傷や損傷が起きやすくなってしまいます。特に傷に弱いのは4線式で、傷の程度によっては検出エラーが起きる恐れもあります。物理的な刺激が加わるシーンで使うなら、5線式・7線式などの抵抗膜式も検討しましょう。

抵抗膜方式(感圧式)タッチパネルの
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静電容量方式

静電容量方式には、投影型と表面型があります。静電容量方式という場合、投影型(PCAP)を指すことが一般的です。

投影型静電容量方式

投影型静電容量方式は、指などの導電性物質が近づくことで起こる電流の変化を利用してタッチ位置を検出する方式です。耐久性に優れており、スマートフォンなどに採用されています。マルチタッチジェスチャ操作も可能です。
2層のITO膜がタッチ領域全体に形成された抵抗膜方式とは異なり、投影型静電容量方式はITOがパターニングされています。そのため、ITOによる透過率の低下を防ぎ、明るい画面を保てます。表面に強固なカバーを設置できる点も、投影型静電容量方式の強みです。
一方、投影型静電容量方式は、指など導電性の物質でしかタッチできません。加えて、環境起因のノイズを受けやすく、水滴や静電気などで検出エラーを起こしやすい点を理解しておきましょう。

表面型静電容量方式

表面型静電容量方式は、タッチ時の静電容量の変化を4隅に設けた電極で読み取り、タッチ位置の検出を行う方式です。比較的シンプルな構造のため、低価格での製造が可能で、10型以上の大きな画面に用いられることが多くなっています。

表面型静電容量方式は、水や油の影響を受けにくいタッチパネルです。ただし、投影型静電容量方式と同じく、指など導電性の物質でしがタッチできません。また、全面にITO膜が広がっているため、マルチタッチにも対応できません。マルチタッチできる分、表面型よりも投影型の方が機能面は優秀であるといえます。

静電容量方式タッチパネルの
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赤外線方式

赤外線方式は、発光素子から出た赤外線と受光素子が受け取った赤外線の量の違いからタッチ位置を算出する方式です。赤外線方式は筐体に設置するフレームタイプのタッチパネルで、設置が容易です。パネル表面はガラスなので耐久性がよく、透過率も損なわれません。10点以上のマルチタッチの認識も可能です。

赤外線方式は画面の透過性が高くきれいな映像を映し出せる反面、日光が入る屋外では使いづらいという欠点があります。異物や水滴をノイズとして認識しやすい点でも、屋外での利用はおすすめできません。また、フレームの厚みがある分、検知される位置はタッチパネルのやや手前。タッチを検出する部分に視差があることで、操作性に違和感を覚える人もいるでしょう。

赤外線方式タッチパネルの
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超音波表面弾性波方式

超音波表面弾性波方式は、抵抗膜方式の低い透過率の改善を目的に開発された方式で、パネル表面に伝わる表面弾性波の減衰を読み取ってタッチ位置を検出します。パネル表面に強固なカバーを積層できるので、耐久性や耐傷性に優れた長寿命な方式です。

反面、超音波弾性波方式は、指のような柔らかいものでなければ操作できません。ペンなど硬いものを使うと、表面弾性波が跳ね返されてしまいます。また、マルチタッチの認識は2点が上限です。

超音波表面弾性波方式タッチパネルの
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電磁誘導方式

電磁誘導方式は、磁界が変化したときに電流が流れる現象である電磁誘導を利用してタッチ位置の検出を行う方式です。専用ペンでの入力となり、タッチ時の筆圧も検出することのできる高性能さを持ち合わせており、特にグラフィッカーに人気の方式です。また、一部の電磁誘導方式は、専用ペンの電池交換や充電が不要です。必要なときに電池切れで使えないというリスクを防げることも、電磁誘導方式のメリットといえるでしょう。

電気誘導方式は磁気ノイズに弱い傾向で、マルチタッチができません。マルチタッチを求める場合は、投影型静電容量方式など他のタッチパネルとの複合化を検討する必要があります。

電磁誘導方式タッチパネルの
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タッチパネルの方式別比較表

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抵抗膜方式 静電容量方式
主な用途 FA用産業機械、工作機械
ATM、券売機、ゲーム機など
スマートフォン、タブレット
デジタルサイネージ、タッチモニター
カーナビなど
メリット
  • 手袋やペンなど、指以外でも反応する
  • 水滴などによる誤作動が少ない
  • 他の方式に比べて低コスト
  • マルチタッチが可能で軽いタッチにも反応する
  • 油、水滴などの汚染に強い
  • フレキシブル化が可能
デメリット
  • 一般に表面がフィルムなので、傷がつきやすい
  • 多点検出が難しい
  • 電流や水など、環境ノイズの影響を受けやすい
  • ペンや手袋による入力が困難
タッチの軽さ
マルチタッチ ×(一部可)
手袋での操作 ×
堅牢性 傷がつきやすい
耐環境性
ノイズの影響 受けにくい 受けやすい
透過性
大画面対応 ×
コスト感
▼横にスクロールできます▼
赤外線方式 超音波表面弾性波方式(SAW) 電磁誘導方式
主な用途 デジタルサイネージ
券売機、業務用ゲーム機器
OA機器、金融端末
公共端末、ゲーム端末など
スマートフォン
タブレット、パソコンなど
メリット
  • マルチタッチが可能
  • ペン入力可能
  • 透明電極が不要で透過率が高い
  • 透過率が高く画質がきれい
  • フルフラットや曲面化が可能
  • 耐久性が高い
  • 検出精度が高い
  • 耐久性が高い
  • 透過率が高い
デメリット
  • LEDが必要で構造が厚くなる
  • フレキシブル化できない
  • 野外では使用しにくい
  • マルチタッチは2点まで
  • 雨や埃など屋外環境ノイズに弱い
  • 軽いタッチには反応しない
  • 専用のペンが必要
  • 磁気ノイズに弱い
  • マルチタッチに対応できない
タッチの軽さ
マルチタッチ
手袋での操作 ペンのみ
堅牢性
耐環境性
ノイズの影響 受けやすい 屋外環境ノイズに弱い 磁気ノイズに弱い
透過性
大画面対応
コスト感
総合力で選ぶ
産業用タッチパネルメーカー3
製造・建設などの現場向け
ディ・エム・シー
ディ・エム・シー
引用元URL:株式会社ディ・エム・シー公式サイト(https://www.dush.co.jp/product/touchscreen/)
特徴

耐久性や環境適応性に優れ、工場や屋外使用でも安心。互換性も高く予算に合わせた開発提案が可能。

たとえば
  • 工場FA機器
  • 重機
  • 屋外標識
  • 倉庫用ロボット
  • など

アミューズメント・広告向け
グンゼ
グンゼ
引用元:グンゼ株式会社公式サイト(https://www.gunze.co.jp/denzai/)
特徴

高機能フィルムの開発が得意で、これまで難しかったITOフィルムの大型化に成功。最大65インチ対応で様々な表現が可能に。

たとえば
  • サイネージ
  • フロアガイド
  • アーケードゲーム

など

医療・食品産業向け
FCLコンポーネント
FCLコンポーネント(旧富士通コンポーネント)株式会社
引用元:公式サイト(https://www.fcl.fujitsu.com/products/touch-panels/)
特徴

抗菌・抗ウイルス機能付き機能や写像性を高めるニュークリアフィルムを開発し、衛生的で快適な操作性を実現

たとえば
  • 検査機器
  • 臨床現場
  • 美容成形

など

【選定条件】
2023年1月20日時点で「産業用 タッチパネルメーカー」でGoogle検索し100位までに公式サイトが表示されるメーカーのうち、産業用タッチパネル製造に関する情報が明確であるメーカー21社を紹介しています。
その中で、総合力に関する「品質」「対応力」「実績」に関する情報が明確に公式サイトに記載されているメーカーの中から業界ごとにおすすめできる特徴をもつ3社をピックアップ。
ディー・エム・シー:耐久性や環境対応性が高く、製造業や建設業などの過酷な環境下でも機能性を損なわない
グンゼ:最大65インチまで対応する大型パネルを生産しており、広告などの表現力が重要なシーンに適する
FCLコンポーネント:抗菌機能や写像性を高めるフィルムを開発し、衛生条件の厳しい医療や食品加工での使用向き。