静電容量方式とは、タッチ時に発生する電流の変化を利用して入力する方式です。投影型と表面型の2種類の検出方式があります。
投影型静電容量方式のパネルの構造とは?
投影型静電容量方式のパネルは、パターニングされた2つのITO(X電極とY電極)が、互いに接触しないように絶縁性の物質で分離されています。タッチしたときにX電極とY電極の静電容量が変化して、静電気が流れることで位置を検出する仕組みです。
投影型静電容量方式の長所・短所
投影型静電容量方式の長所・短所を解説します。
長所
投影型静電容量方式の長所を以下にまとめました。
- マルチタッチできる
- 耐久性が高い
- 透過率が高い
投影型静電容量方式の長所は、マルチタッチによる柔軟な操作が可能で、耐久性が高いことです。投影型静電容量方式は、個々の位置の静電容量の変化を感知できるため、拡大・縮小・回転など直感的な操作が可能です。また、パネル表面に強固なガラスやフィルムを積層できるため、抵抗膜方式(感圧式)と比べると耐久性が良好です。
透過率の高さも投影型静電容量方式の魅力です。投影型静電容量方式はITOがパターニングされており、ITOの重なりが少ない分、透過率をキープできます。
短所
投影型静電容量方式の短所を以下にまとめました。
- 指など導電性の物質でしかタッチできない
- 環境起因のノイズが大きいところでは利用しにくい
投影型静電容量方式の短所は、指など導電性の物質でしか操作できないことと、周囲環境からのノイズを受けやすいことです。投影型静電容量方式に指を近づけると、X電極とY電極の静電容量が変化します。静電容量の変化は、指が電流を流しやすい導電性の物質であるが故にもたらされる現象です。ゴム手袋をはめた手や、木・プラスチック・セラミックなどの物質は、絶縁性であるため投影型静電容量方式を操作できません。
また、ノイズを調整できる技術を搭載したものもありますが、多くの投影型静電容量方式は静電気のような電気的なノイズで検出エラーが発生しがちです。表面に水や油などの導電性の汚れがついている場合も、検出エラーが起きやすくなります。
投影型静電容量方式の用途
投影型静電容量方式は、マルチタッチが求められるものに向いています。例えば、スマートフォンやタブレット・一部のデジタルサイネージには、投影型静電容量方式が採用されています。特に、パネル表面に分厚いカバーを付けられる自己容量方式は、防犯上強度が求められるATMの操作画面などにおすすめです。自己容量方式を含む投影型静電容量方式のタイプについては、以下で解説します。
自己容量方式
自己容量方式とは、ITO電極面に指などの人体が触れた際に起こる静電気容量の増加を検知して、タッチ箇所を検出する方式のことです。高感度であり、分厚いカバーの上からでも検出が可能であるというメリットがあります。一方で、電極の行・列ごとにタッチ位置を判断しているため、マルチタッチ時に、タッチしていない箇所を認識してしまうゴースト現象が起こることがあるというデメリットがあります。
相互容量方式
相互容量方式とは、X電極とY電極の2つの電極間における電磁界の状態変化を検出し、タッチ位置を判定する方式です。
一方の電極を駆動させた状態で、他方と電極との間に形成される電界に指やタッチペンなどが近づくと、電磁界の一部が移り、遮られることにより電極間の容量が減少します。その減少する静電容量を捉え、指やタッチペンなどの接近を検出しています。
表面型静電容量方式の長所・短所
表面型静電容量方式の長所・短所を解説します。
長所
表面型静電容量方式の長所を以下にまとめました。
- 耐久性が高い
- 投影型よりも水や油の影響を受けにくい
- コストを抑えて大型化できる
表面型静電容量方式は、投影型静電容量方式を上回る耐久性の高さが特徴で、水や油の影響を受けにくい傾向です。また、表面型静電容量方式は構造がシンプルなため導入コストを抑えやすく、大型化も容易です。
短所
表面型静電容量方式の短所を以下にまとめました。
- マルチタッチできない
- 指など導体以外での操作が難しい
表面型静電容量方式は、ITOがパターニングされていないためマルチタッチができません。投影型静電容量方式と同じく、手袋をした手やペンなどでの操作が困難です。また、水・油の影響は受けにくい傾向ですが、静電気の影響を受けると検出エラーがおきがちです。
表面型静電容量方式の用途
表面型静電容量方式は、大画面のタッチパネルによく用いられます。ただし、マルチタッチができないため、表面型静電容量方式の用途は限られます。コストや耐久性を重視する場合は表面型静電容量方式がよいですが、操作性を求めるなら投影型静電容量方式も検討するとよいでしょう。
まとめ
投影型静電容量方式は、2点以上の同時タッチが可能で耐久性に優れた方式です。スマートフォンなどの身近な機器に使用されています。
投影型静電容量方式以外にも、産業用タッチパネルに用いられる方式は複数あります。
それぞれの方式がどのような特長を持つのかを把握し、求める仕様に合ったタッチパネルを選ぶようにしましょう。
静電容量方式に対応している産業用タッチパネルメーカー
総合力で選ぶ
産業用タッチパネルメーカー3社
本サイトでは、2023年1月20日時点で「産業用 タッチパネルメーカー」でGoogle検索し100位までに公式サイトが表示されるメーカーのうち、産業用タッチパネル製造に関する情報が明確であるメーカー21社を調査。
その中で、総合力に関する「品質」「対応力」「実績」に関する情報が明確に公式サイトに記載されているメーカー、かつ
「デバイス(タッチセンサ)」から製造しているメーカー3社を紹介しています。
すべて自社開発・製造
ディ・エム・シー
センサ
ション
- 静電容量方式
- 高い操作性・耐ノイズ性能、手袋、ペン対応
- 抵抗膜方式
- スマホライクな軽い操作、濡れた手、手袋、マルチタッチジェスチャに対応
大型サイズにも対応
グンゼ
ション
- 静電容量方式
-
薄くて、軽いフィルム構成
工場電源ノイズ対応
- 抵抗膜方式
- ※現在、抵抗膜式に対応していません。
5線式・7線式にも対応
FCLコンポーネント(旧富士通コンポーネント)
ション
- 静電容量方式
- 要問合せ
- 抵抗膜方式
-
特殊ペン、手袋、濡れた指に対応
軽快な操作性、2点タッチ操作
- 静電容量方式
- 高い操作性・耐ノイズ性能、手袋、ペン対応
- 抵抗膜方式
- スマホライクな軽い操作、濡れた手、手袋、マルチタッチジェスチャに対応
- 静電容量方式
-
薄くて、軽いフィルム構成
工場電源ノイズ対応
- 抵抗膜方式
- ※現在、抵抗膜式に対応していません。
- 静電容量方式
- 要問合せ
- 抵抗膜方式
-
特殊ペン、手袋、濡れた指に対応
軽快な操作性、2点タッチ操作
総合力で選ぶ
産業用タッチパネルメーカー3選をもっと詳しく紹介
ディ・エム・シー
- 抵抗膜方式でスマホのように自由に操作したい
- ノイズ・温度・紫外線など、過酷な環境に対する耐久性がほしい
- 使用シーンに合った提案・調整をしてほしい/相談したい
- モジュールやユニット(完成品)がほしい
ディ・エム・シーが対応している方式/対応製品
(デバイス)
ディ・エム・シーのタッチパネルの強み
センサ、コントローラー、デバイスからモジュール、ユニット(操作表示機、タッチパネルモニター等の完成品)までトータルで提案。ガラス×フィルム、フィルム×フィルムなど、条件や用途に合わせて柔軟に対応、多様な「+α」の機能を付与できます。予算に合わせた価格対応も可能。
抵抗膜方式から静電容量方式への切り替えが増えている中、ノイズに影響されにくい抵抗膜の長所を生かしたまま、設計を変えずに軽い操作感とマルチタッチジェスチャ操作を実現。フリック、パン操作、ピンチ、ターン操作など、軽いタッチでスムーズな操作ができます。
使用温度範囲-40℃~80℃保証、過酷な野外使用における耐候性、紫外線吸収特性、水誤動作防止機能、耐衝撃ソリューション、堅牢性、過酷な環境やノイズにも対応できる静電容量方式などのソリューションを提供。使用シーンに合わせて優位性を高めるカスタマイズやチューニングが可能です。
ディ・エム・シーの
サイズ/バリエーション
- 静電容量方式
バリエーション…ガラス×ガラス、ガラス×フィルム、フィルム×フィルム、6シリーズ(計53タイプ)
サイズ…7(W)~32(W)インチ
ディ・エム・シーの
サポート
- センサもコントローラーもすべて一貫で開発・製造しており、柔軟なチューニングができる。
現地対応も可能、1社でトータルサポート。 - 公式サイト上にサポートページ、FAQ、仕様書など、タッチパネルを活用するうえで必要となる各種資料を豊富に用意。
ディ・エム・シーのタッチパネルの実績
「抵抗膜方式」で長期にわたる開発・製造実績があり、幅広い産業分野に製品提供を行っています。 「静電容量方式」は2007年から製造。国内にとどまらず、世界20ヶ国以上に輸出を行っています。(2023年4月時点)
株式会社ディ・エム・シー(DMC)は、産業用タッチパネルおよび関連製品の開発・製造・販売を専門に手がけているメーカーです。創業以来「多品種少量生産」「長期安定供給第一」のビジネスモデルを貫き、タッチパネルに関する幅広いニーズに応えられるように事業を拡大。時代のニーズを絶えずキャッチし、幅広い産業分野で長年培ったノウハウを活かし、さらなる新製品の開発や販路拡大へとつなげています。
ディ・エム・シーの会社情報
本社所在地 | 東京都港区高輪2-18-10 高輪泉岳寺駅前ビル11F |
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設立年 | 1973年設立 |
事業展開 | タッチパネル及び関連機器の開発製造販売 |
問合せ先 | 03-6721-6731 |
グンゼ
- 非接触タイプのタッチパネルがほしい
- 23インチ以上の大型のタッチパネルがほしい
- 大型タッチパネルの視認性を上げたい
グンゼが対応している方式/対応製品
グンゼのタッチパネルの強み
もともと抵抗膜方式の開発・製造を行っていましたが、現在は静電容量方式のみに注力。サイズは7~21.5インチの標準品のほかに、デジタルサイネージなどの用途に有効な23~65インチという大型サイズにも対応。目的に合わせて選ぶことができます。
手を近づけるだけで最大約5cmの距離を検知できる、非接触型の産業用タッチパネル。手袋を付けていても検知可能であるほか、水滴がかかっても誤作動を起こしにくいことを強みとしています。
タッチパネルには内製のフィルム電極が搭載されており、一般的なガラス製品と比較すると薄くて軽いのが特徴。高耐光のフィルム電極のため、太陽光や紫外線による画面の劣化を抑えます。
グンゼの
サイズ/バリエーション
- 静電容量方式
バリエーション…中・小型(9タイプ)、大型
サイズ…7~21.5インチ、23~65インチ
グンゼの
サポート
- 専門の技術者がユーザーの利用環境・用途に合わせたファームウェアチューニングを行い、タッチパネルに機能を付与。
- 技術面・品質面の課題についても、各部門のエンジニアが随時必要なサポートを提供。
グンゼのタッチパネルの実績
パンスト包装用のフィルムの開発・製造からプラスチックフィルム事業を生み、透明導電性フィルムの開発につながり、1986年に本格生産をスタート。タッチパネルメーカーとして25年以上の歴史をもっています。(2023年4月時点) 現在は静電容量方式に注力、国内のほか、中国とアメリカに生産拠点を広げています。
アパレルメーカーのブランドイメージが強いグンゼですが、アパレル業だけでなく、製品の包装フィルムの自社開発にも積極的に取り組んでいます。機能性プラスチックフィルムの開発も行っており、電子部品事業部では産業用タッチパネルを提供していることが特徴。長い歴史の中で培った耐久性、対指紋、低反射といった技術がグンゼの産業用タッチパネルに活かされています。
グンゼの会社情報
本社所在地 | 京都府綾部市青野町膳所1番地 |
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設立年 | 1985年設立(電子部品事業部) |
事業展開 | タッチパネル製品の開発・製造・販売 |
問合せ先 | 0120-167-874 |
FCLコンポーネント(旧富士通コンポーネント)
- 筆記寿命・打点寿命ともに長いタッチパネルがほしい
- スタイリッシュな製品に仕上げたい
- フルカスタム仕様のタッチパネルがほしい
- 抗菌・抗ウイルスの機能がほしい
FCLコンポーネント(旧富士通コンポーネント)が対応している方式/対応製品
FCLコンポーネント(旧富士通コンポーネント)のタッチパネルの強み
「7線式」を提供
抵抗膜方式のタッチパネルでは、4線式、5線式のほか、独自の抵抗膜タッチパネル方式、アナログ7線式にも対応。7線式は一般的な4線式に比べて筆記寿命・打点寿命ともに長いのが特徴で耐久性と位置精度も両立。透明感と滑り性をより向上させるフィルムのオプション追加も可能です。
フラッシュサーフェス
組込まれる筐体とタッチパネルに段差がないフラットな外観のフラッシュサーフェスタッチパネルを提供。タッチパネル製品をスタイリッシュなデザインにしたい場合に向いています。手袋や濡れた手でも操作できる抵抗膜式で、額縁部分には独自の配線によりスイッチの設置が可能。ロゴ印刷もできます。
抵抗膜式タッチパネルにおいて、ISO規格に準拠した「抗菌(ISO22196)」「 抗ウイルス(ISO21702)」試験に適合したフィルムを採用。タッチパネル上に抗菌・抗ウイルスコートフィルム追加する方法と、ITOフィルムに抗菌・抗ウイルス機能を追加する方法から選択できます。
FCLコンポーネント(旧富士通コンポーネント)の
サイズ/バリエーション
- 静電容量方式
バリエーション…1種類×5サイズ(5タイプ)
サイズ…12.1~18.5インチ
FCLコンポーネント(旧富士通コンポーネント)の
サポート
- 製品を使用する際の安全に関する注意事項や各種サポート情報がまとめられており、参照できる。
- マニュアルやソフトウェアのダウンロードが可能。
- タッチパネル専用のお問合せフォームを用意。
FCLコンポーネント(旧富士通コンポーネント)のタッチパネルの実績
もともと抵抗膜式タッチパネルの開発・製造に強みを持っており、近年の静電容量方式のニーズを受けて2016年に開発に着手、現在は、マレーシアと中国に開発・製造拠点を置き、事業を拡大しています。
FCLコンポーネント(旧富士通コンポーネント)株式会社は、各種電子部品の製造および販売を行っているメーカーです。リレーをはじめとするスイッチング・デバイス関連製品、タッチパネルやキーボードのほか、ヒューマン・インターフェース・デバイス関連製品を取り扱っています。製造・販売ルートとして国内はもちろん海外にも拠点を配置。電子部品事業をグローバルに展開しています。
FCLコンポーネント(旧富士通コンポーネント)の会社情報
本社所在地 | 東京都品川区東品川4-12-4 品川シーサイドパークタワー |
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設立年 | 2001年創立 |
事業展開 | タリレー、キーボード、タッチパネル、サーマルプリンタ、無線モジュール、KVMソリューション、複合デバイス(ユニット製品)他の開発・製造・販売 |
問合せ先 | (問合せフォームのみ)https://www.fcl.fujitsu.com/contact/form/lvr/ |
- 抵抗膜方式(感圧式)のタッチパネルの特徴、メリット・デメリット、対応メーカーを見る
- 赤外線方式のタッチパネルの特徴、メリット・デメリット、対応メーカーを見る
- 超音波表面弾性波方式(SAW)のタッチパネルの特徴、メリット・デメリット、対応メーカーを見る
- 電磁誘導方式のタッチパネルの特徴、メリット・デメリット、対応メーカーを見る
産業用タッチパネルメーカー3社
耐久性や環境適応性に優れ、工場や屋外使用でも安心。互換性も高く予算に合わせた開発提案が可能。
- 工場FA機器
- 重機
- 屋外標識
- 倉庫用ロボット
など
高機能フィルムの開発が得意で、これまで難しかったITOフィルムの大型化に成功。最大65インチ対応で様々な表現が可能に。
- サイネージ
- フロアガイド
- アーケードゲーム
など
抗菌・抗ウイルス機能付き機能や写像性を高めるニュークリアフィルムを開発し、衛生的で快適な操作性を実現。
- 検査機器
- 臨床現場
- 美容成形
など