超音波表面弾性波方式(SAW)

目次

超音波表面弾性波方式は、表面弾性波を発信してタッチ位置を検出する入力方式です。寿命が長く、公共の場でも利用されています。ここでは、超音波表面弾性波方式のパネルの構造やメリット・デメリットなどの特徴を解説しています。

超音波表面弾性波方式のパネルの構造とは?

超音波表面弾性波方式タッチパネルの構造
 
画像引用元:NISSHA株式会社公式HP
https://connect.nissha.com/filmdevice/filmdevice_column/touchguide    

超音波表面弾性波方式は、表面弾性波方式や超音波方式とも呼ばれ、パネルの表面に伝わる弾性波が徐々に減少していくことを利用した入力方式です。
パネルの隅に配置されたX・Yの発信子からそれぞれの表面弾性波を発信し、反射板ではね返してパネル全体に行き渡らせた後、それぞれの受信子で受けます。指などで画面をタッチすると、その表面弾性波が吸収され、減衰します。減衰した座標を計算することで、タッチした位置を検出するという仕組みです。画面タッチ時に弾性波による振動を感じることはありません。なお、操作は、指や手袋などの表面弾性波を吸収できるような柔らかいもので行う必要があります。

超音波表面弾性波方式の長所・短所

超音波表面弾性波方式の長所・短所を解説します。

長所

超音波表面弾性波方式の長所を以下にまとめました。

  • 耐久性が高い
  • 透過率が高く画質がきれい
  • 手袋をした手でもタッチできる
  • 深さ方向の検出が可能
  • フルフラット化や曲面化が可能

超音波表面弾性方式は、周囲のパネルの隅に配置されたX・Yの発信子からそれぞれの表面弾性波を発信しています。パネル表面に傷がついたとしても、操作タッチ特性には影響せず故障のリスクを抑えられます

パネル表面はクリア・アンチグレアの加工が可能で、ITOを使わないため透過率をキープできます。明るくきれいな映像を映し出せることも、超音波表面弾性方式のメリットといえます。

手袋で入力できる点も、超音波表面弾性波方式のメリットです。弾性波を吸収できるものであれば、絶縁性の物質でもタッチできます。しかも、超音波表面弾性方式は押圧を検知できるため、深さ方向の検出が可能です。文字を書くときに線の太さを滑らかに変えられるなど、紙に文字を書くときのような滑らかな使用感を得られるでしょう。

また、超音波表面弾性波方式はフルフラット化や曲面化が可能です。フルフラット化は、X・Yの発信子や反射板を裏面に備えることで実現します。弾性波は曲面でも伝わるため、丸みを帯びた柱などにもタッチパネルを設置できます。

短所

超音波表面弾性波方式の短所を以下にまとめました。

  • 弾性波を吸収できるような柔らかいものでないと操作できない
  • 環境起因のノイズが大きいところでは利用しにくい
  • マルチタッチは2点までしか対応できない

上述したように、超音波表面弾性波方式は、弾性波を吸収できるような柔らかいものでないと操作できません。指以外で操作する場合は、弾性波を吸収できるものを用意する必要があります。また、水滴や小さな虫などのパネル上の操異物に弱く誤作動が起きやすい、マルチタッチは2点までしか反応しないといったデメリットもあります。

超音波表面弾性波方式の用途

超音波表面弾性波方式は、抵抗膜方式の課題である低い透過率を解消し、明るく視認性を良くするために開発された方式で、POSやATM、キオスク端末などの公共スペースのタッチパネルでも採用されています。透過率が良いことはもちろんのこと、操耐久性や耐傷性も十分で、長い寿命が確保されています。

超音波表面弾性方式は、医療用途にも適しています。超音波表面弾性方式はゴム手袋を使用しながら使える上に、透過率が高いため画質を損ないません。

まとめ

超音波表面弾性波方式は、金融端末などに使用されることが多い、透過性が高く耐久性にも優れた方式です。

超音波表面弾性波方式以外にも、産業用タッチパネルに用いられる方式は複数あります。

それぞれの方式がどのような特長を持つのかを把握し、求める仕様に合ったタッチパネルを選ぶようにしましょう。

本サイトで紹介しているメーカーのうち、下記メーカーが「超音波表面弾性波方式のタッチパネル」に対応しています。(2023年3月調査時点)
詳細は各社にお問い合わせください。

総合力で選ぶ
産業用タッチパネルメーカー3
製造・建設などの現場向け
ディ・エム・シー
ディ・エム・シー
引用元URL:株式会社ディ・エム・シー公式サイト(https://www.dush.co.jp/product/touchscreen/)
特徴

耐久性や環境適応性に優れ、工場や屋外使用でも安心。互換性も高く予算に合わせた開発提案が可能。

たとえば
  • 工場FA機器
  • 重機
  • 屋外標識
  • 倉庫用ロボット
  • など

アミューズメント・広告向け
グンゼ
グンゼ
引用元:グンゼ株式会社公式サイト(https://www.gunze.co.jp/denzai/)
特徴

高機能フィルムの開発が得意で、これまで難しかったITOフィルムの大型化に成功。最大65インチ対応で様々な表現が可能に。

たとえば
  • サイネージ
  • フロアガイド
  • アーケードゲーム

など

医療・食品産業向け
FCLコンポーネント
FCLコンポーネント(旧富士通コンポーネント)株式会社
引用元:公式サイト(https://www.fcl.fujitsu.com/products/touch-panels/)
特徴

抗菌・抗ウイルス機能付き機能や写像性を高めるニュークリアフィルムを開発し、衛生的で快適な操作性を実現

たとえば
  • 検査機器
  • 臨床現場
  • 美容成形

など

【選定条件】
2023年1月20日時点で「産業用 タッチパネルメーカー」でGoogle検索し100位までに公式サイトが表示されるメーカーのうち、産業用タッチパネル製造に関する情報が明確であるメーカー21社を紹介しています。
その中で、総合力に関する「品質」「対応力」「実績」に関する情報が明確に公式サイトに記載されているメーカーの中から業界ごとにおすすめできる特徴をもつ3社をピックアップ。
ディー・エム・シー:耐久性や環境対応性が高く、製造業や建設業などの過酷な環境下でも機能性を損なわない
グンゼ:最大65インチまで対応する大型パネルを生産しており、広告などの表現力が重要なシーンに適する
FCLコンポーネント:抗菌機能や写像性を高めるフィルムを開発し、衛生条件の厳しい医療や食品加工での使用向き。